Where is dogooooo Chapter 2
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砂埃まみれの大地だが、空はとても澄んでいた。この星はもうどこもかしこもこんな状態である。土の塊のような星。強いコントラストで何もない砂地が照らされている。
そこにくっきりと浮かび上がる影が二つ見えた。曲線で構成されたような四肢をもち、丸い大きな頭のドグーと、その横にふわふわと浮かぶイカである。
この星はすでに何度も滅びかけていた。人間たちは幾度も宇宙への脱出を試みたがその度に失敗していた。
今は地中深く潜り込み、天変地異や疫病を遮断して切り捨てることでトカゲの尻尾きりのようにギリギリ存続していた。
「しばらくは電気嵐は来なそうだね」とイカが言った。
「良かったです。今を逃したら次のチャンスはないでしょうからね」
ドグーはそう答えると大地の亀裂から滑り込むように地下帝国へと潜り込んでいった。

チューブ状のトンネルを滑り落ちると、地底には煌びやかな世界が広がっていた。煌びやかな建造物を維持する力はもう人類にはない。ただ全時代の遺物を片付けて新しく建造する力がないだけである。
かつてじわじわと疲弊していき人口が減っていく時代に、人々は人工知能AIによって作られた心地よいエンターテインメントに逃避行していた。
そして徐々に世界の衰退が危機的状況になるにつれ、我に帰った人々は掌を返すようにAIを糾弾するようになった。
作る力を失った人類は原点回帰をスローガンに、一様にナチュラリストに偏向した。
AIを禁止したため、製造業や運搬業も時間を止め、衰退はますます進行した。 ドグーはAIによって作られ、内部にAIを搭載しているいわばロボットである。
かつてAIエンターテインメントが全盛を極めた頃、この星の各地にドグーシアターパークが作られ、何体ものドグーがそこで人々を楽しませていたが、ナチュラリストの暴動により迫害され廃棄された。

このドグーはその最後の生き残りである。

人類、そしてこの星のもはや後戻りができないこの状況に気づいている一部の人類は「ノアの方舟プラン」を水面下で進行していた。
巨大な母船を造り、宇宙に脱出するのである。今までも歴史上で何度も人類はこれに失敗してきたので、ほとんどの人類、国家がそれに対して消極的である。
■■、■■■、■ーの三人は密かにドグーをかくまっていた。そしてそのAIを利用して理論上ほとんど確実と言っていいほどのプランの立案と巨船の製造をやり遂げた。
「ついに今月か」
「大丈夫かな。リスト通りに準備は進んでいるけど」
「大丈夫大丈夫。■■さんも■■■さんもしっかり皆を先導してきたと思うよ。あとは乗船するだけだね」
「でもずっと気になってることがある」
■■が言いにくそうに口を開いたとき、ドグーとイカが裏口からその輪に加わった。「仮眠ドッグのスペースについてですね?」
母船が電気嵐帯を通過して、安定した地点に到達するまで、仮眠ドッグで数年眠り続ける必要があった。だが母船内のそのスペースは搭乗人数に比べて明らかに少ない。
「それもだけど…人数はこれ以上減らせない」
「はい、わかってます。これはあなた方の将来について重要なことですが、あなた方はその姿のままでこの先存続していくことは不可能です。搭乗前に全員の体を整形し適合させる必要があります」
三人は絶句した。だがこれまでの幾度の宇宙進出への失敗や、ドグーAIへの信頼から、その正しさについてはすぐに理解できた。
「でもその手術を受け入れることも、施術することも精神的に耐えられるとは思えないよ」
「ええ、わかります。施術は私に任せてください。施術用のロボットもすでに準備してあります。その必要性を理解させるのは、あなた方にしかできないでしょう」
「最後に大変な仕事が残っていたな…でも先にその話がわかっていたら、きっとここまでこれなかっただろうね」
「皆への説得は任せていいよ。今まで抱えていた問題を我々は乗り越えなくてはいけないからね。でも私が気になっていることは、君を動かしているネットワークが母船には持ち込めないということだよ」
「私はこの星に残ります」

人々の説得にはかなりの労力を要したが、三人はそれをやり遂げた。
人類の姿は一部形を変えたが、適応し変化し続けて完全な衰退からは逃れることができるだろう。
ドグーは滅んだ土地に残されたままだが、三人はドグーの形の小さな人形を作り、礎として人々の生活に遺し続けた。